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「あっついまじで吐きそうほんとまじで」 「うるっさい」 わわわわわ、と耳をやりながら、わたしはフェンスにもたせ掛けていたからだをよいしょと起こす。コートからむっとした熱気が上がっている。夏だ。おぞましい。各コートでは準レギュラーたちが凌ぎを削りあっているけれど、レギュラーたちはといえば屋根の下のベンチでだーらだら。全国大会前ですよーみなさん。ていうかわたしもそこへ入れてくださいあなたたち専属のマネージャーなんですからよ。あっついのはこっちだっての向日のばかやろ。 「休憩してくる」 「何や、バテたんか?」 「そうですよ」 「根性無ぇな」 「うるさいド根性宍戸。あんたみたいな熱血と一緒にしないで。わたしは去る」 大体部長は。この部の部長はどこですか。屋根の下どころか屋内でだらだらですか。 げんなりしながらコートを出て、蜃気楼みたいにゆらゆら揺れる階段を校舎に向けてゆっくりと登っていく。杖でもついてなきゃやってらんない、こんな段差。 ふらついた足取りのまま、校舎脇の日陰に入ってウォータークーラーに顔を寄せる。吐きそうだ。金なんかいくらだってあるんだから、コートだって屋内にしてしまえよ。そんでマネージャー用の休憩所かなんか造ってください。とか言ったらあいつは「お前は何様だ?」とか言うんでしょうね。やっばい、意識が朦朧としてきた。 そのまま校舎の裏手にまわって、そばにあった木にすがりついた。本気ですか。本当に、まじで熱中症なの?勘弁して。もうちょっとでまたレギュラーと準レギュラーの練習試合が始まるから、ドリンクとタオル用意しないといけないのに。もうほんと助けて、あ と 「おい」 べ、の声がして、腕がぐっと掴まれた感覚がした。ああ、確かにまだ現実にいる、わたし。意識はまだここにあるみたい。だって、見上げた先に、奴がいた。 「あ、お疲れ様です」 「何アホみたいな返ししてんだ。平気か」 「うん、何とか。今帰って来た」 「どっからだよ」 跡部は眉間に皺を寄せて、わたしの腕を掴んでいた手を放した。そしてわたしを木陰に座らせて、自分も隣に腰を下ろす。肩貸して、と言ったら、黙って身を寄せてくれた。カッターシャツの袖が、頬にひんやり、冷たかった。 「何で制服なの?」 「生徒会の仕事をしてた」 「あー、だから朝からいなかったんだ」 全国大会前だっていうのに、生徒会の仕事、それが終わったら練習って。どんなスケジュール? 跡部は珍しく肢体から力を抜ききって、わたしの隣に座っていた。手のひらをふと見やったら、たくさんマメが出来ていた。木漏れ日がふらふら、ふたりの上を彷徨う。 「知らなかった。頑張ってるんだね」 「あ?」 「マメ、ちゃんとその日のうちに処置しないと、なかなか治らないよ」 「ああ、これか。処置の仕方がわかんねぇ」 「じゃああとでしますんで」 さわさわ、芝生の音。陽が当たるところは馬鹿みたいに暑いのに、ここは本当にひんやりしている。頭もすっきり晴れてきて、わたしは跡部の肩から頭を起こした。奴がこちらを見た気がした。でも知らない振りをした。 「お前な」 「ん?」 「部員の体に気を使うのもいいが、自分の体も心配しろ」 それが第一だろうが、と跡部は呟くように言った。ふと隣を見る。跡部の長い睫毛が、木漏れ日くらいの光でも長く頬に影を落としていた。こうしていると、本当に美少年だなぁと思う。黙っていれば、少し悲しそうな彫刻みたい。疲れてるのかな、とか、心配になる。 黙り込んでいたかと思うと、ふとわたしに気づく。瞬間奴はにやりと笑って、言った。 「見惚れてんじゃねぇよ」 「み、見惚れてない」 「いーや、見惚れてた」 見惚れてない、わたしはもう一度しどろもどろに言い返した。奴はにやにや笑ってばーか、とわたしの頭をぐちゃぐちゃにしたけれど、突然ぴたりと手を止めた。 「……跡部?」 「」 「何よ」 「いいか、よく聞け」 「だから何よ」 真面目な顔をしたと思った次の瞬間、両の頬がぎゅーっと引っ張られた。いったー!と叫んでばこっとみぞおちを殴ってやる。跡部はうっと極力抑えた呻き声を出して手を放した。ざまぁみろ。 怒ったわたしは立ち上がる。ばーかと吐き捨ててそのまま木陰を出て行こうとしたら、斜め下からぐっと引っ張られて足を止めた。振り返る。跡部がにやりと笑って、わたしを見上げていた。そしてぐっとわたしの腕を引いて、何かの宣言みたいに、はっきり言い放った。 「お前は一生、俺様に見惚れてろ」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき 氷帝って屋内テニスコート無かったっけ?← 天井が閉まって屋内になるのは学園祭の王○様だったっけか?あれ? 何かとりあえずいろいろ設定がわかりませんorz マメとかかばぢが治してくれないのか← キャラにうつつ抜かしてるだけじゃなくて 設定もべんきょうしないと!(・ω・`) |